共生と寄生

 「共生」と「寄生」は、生き物の関係を考えるときにとても重要な要素となります。では、この二つの違いはどのようなものでしょうか。今回の記事では、生き物たちの関係について解説します。

共生

 共生と聞くと、お互いがウィン・ウィンな関係にあるように思えます。しかし、共生には二種類あり、必ずしも双方が利益を得るものではありません。

双利共生

 双利共生とは、双方に利益がある共生のことです。代表例としては、クマノミとイソギンチャクです。クマノミはイソギンチャクを隠れ家とする一方で、イソギンチャクを捕食する魚を攻撃します。

片利共生

 片利共生とは、片方のみが利益を受け取る共生の形です。例としては、サメなどの捕食者の下にいるコバンザメです。コバンザメは、捕食者の下にくっつくことで移動に使うエネルギー消費を抑え、さらにエサのおこぼれを食べることができます。しかし、コバンザメがくっついている捕食者側には何も利益が発生しません。このような場合は、片利共生と呼ばれています。

寄生

 寄生とは、片方が利益を得て、もう片方が不利益を被る場合を指します。片利共生との違いは、一方が無利益なのか、不利益なのかにあるのです。寄生の例としては、コマユバチがあげられます。

 コマユバチは、スズメガの幼虫に卵を産み付けます。幼虫の体内で孵化したコマユバチは、幼虫の体内を食い尽くしてしまいます。ただし、重要な器官は残すため、寄生された幼虫が死亡することはありません。そして、幼虫は驚くことに、寄生されたコマユバチを保護するような行動をとるのです。

 このように、一方が不利益を被れば寄生です!

実は寄生じゃないカクレウオ

 カクレウオは、ナマコの消化管の中で暮らしています。これを聞くと、ナマコに不利益があるのではないか?または、ナマコの消化管にいる寄生虫を食べて、掃除しているのではないか?という考えが浮かびます。しかし、カクレウオは寄生でも双利共生でもなく、片利共生なのです。

 したがって、カクレウオはナマコの消化管を隠れ家とする一方で、ナマコ側は何ら影響がないのです。

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