フンボルトペンギン

英名:Humboldt Penguin 学名:Spheniscus humboldti

個体数規模:32,000羽

分布

 フンボルトペンギンは、ペルーのフォカ島からチリ南部のグアフォ島までの、南米大陸沿岸に分布しています。ちょうどこの部分には寒流であるペルー海流があり、別名としてフンボルト海流とも呼ばれています。

基本的生態

 巣には様々な形態があり、地表に浅いすり鉢状の巣をつくったり、植物の根元に巣をつくったり、海岸部の洞窟の中に巣をつくったりします。

 餌となる生物が豊富に存在すれば、一年中いつでも繁殖します。繁殖のピークは年に二回で、それぞれ秋冬(4~7月)と春(8月~12月)です(南半球であるため、季節と月の関係が少しややこしくなっています)。繁殖開始時期は、低緯度のペルーから始まり、高緯度のチリへと移っていきます。桜前線と似ていますね。ペンギンの羽が生え変わる換羽期は、成長の場合1~2月(夏の期間)ですが、幼鳥の場合は特に換羽期が決まっているわけではありません。フンボルトペンギンの多くは定着性が強く、基本的には一年中同じ繁殖地にいます。

 フンボルトペンギンの餌は、カタクチイワシ、ニシン、タラなどです。彼らは、繁殖地から20~35㎞以内の海域で採食します。しかし、抱卵期には、最大72㎞遠くまで出かけるという報告もあります。潜水深度は、ふつうは35m以内の比較的浅い潜水ですが、最大53mの潜水も確認されています。実は、水族館の水槽よりもずっと深く、そして遠くまで泳いだり潜ったりできるのです。

個体数の減少

 1800年代半ば以降、個体数の深刻な減少に見舞われています。それ以前には数十万羽いたとされていた個体数ですが、1980年代初期、1982~83年のエルニーニョ現象直前には、総個体数は16,000~20,000羽と推定されるようになりました。そして、エルニーニョ現象の後には総個体数が5,000~6,000羽に減少しました。しかし、この減少については、実際にペンギンの死亡率が上昇したのか、あるいは一時的に繁殖地を離れただけなのかは不明です。

 まだまだ謎が多いフンボルトペンギンですが、その保全と今後の調査は人類や地球環境にとって大切です。

ペンギンの代表種

 ペンギン目はSphenisciformes、ペンギン科はSpheniscidaeといいます。鳥類の目名と科名は、それに属する代表的な属名を基本にするため、ペンギン目ペンギン科を代表するのは、フンボルトペンギンを含むフンボルトペンギン属(Spheniscus)となります。

参考文献

「生物の科学 遺伝」編集部,2020.ペンギンの生物学,株式会社エヌ・ティー・エス:pp211.

コメント

タイトルとURLをコピーしました