次世代エネルギーとしての藻類

環境トピックス

 現在、カーボン・フリーを目指して様々な自然エネルギーが利用されています。そんな中、一際注目を集めるエネルギーがあります。それが藻類です。

藻類とは

 藻類とは、酸素発生型光合成を行う生物のうち、コケ・シダ・裸子・被子植物を除く全ての生物の総称です。ただし、光合成をやめてしまったものなども存在し、一部の藻類は光合成を行いません。

 「藻類」とは、正式な分類学的用語ではなく、特定の生物の総称なのです。

藻類発電のポイント

 藻類発電が注目されている理由として、大きく以下の三つが挙げられます。

1.太陽光エネルギー利用率が高い

 陸上植物に比べて、水生微細藻類は6~12倍のエネルギー生産が可能です。他の植物と太陽光エネルギー効率を比較すると、微細藻類は約3~9%、C₃植物は約2.4%、C₄植物は約3.7%となります。

2.栄養や環境ストレスによる化学的合成制御が可能である

 N₂(窒素)、Si(ケイ素)、P(リン)の欠乏で、燃料となる細胞当たりのでんぷんや脂質は2~3倍になります。すなわち、これらの化学物質の量を人為的にコントロールすることで、エネルギー生産効率を上昇させることができます。

3.水資源を再利用することができる

 藻類を育成するための水は再利用が可能であるため、汚染や水資源の枯渇は起きにくくなります。

注目されている藻類の種類

 現在、新たなるエネルギー源として注目されている藻類として、以下の二つが挙げられます。

 「オーランチオキトリウム」

 オーランチオキトリウムは、藻類の仲間ですが、カビ類に近く光合成を行いません(先ほどの定義の例外)。筑波大学によって、沖縄のマングローブ林で発見されました。この藻類は、高い効率で炭化水素(燃料となる油)を生産し、細胞内にため込みます。

「ボトリオコッカス」

 ボトリオコッカスは、独立栄養で光合成を行う緑藻(藻類に含まれる分類の一つ)です。細胞内で油の生成をします。通常は淡水に生息し、光合成によって生産した炭化水素を細胞外へと分泌しています。

 これらの藻類から得られた燃料は、光合成によって取り込まれた二酸化炭素がもとになっています。したがって、この燃料を燃やして二酸化炭素が発生したとしても、プラス・マイナスゼロということになり、カーボン・フリーが実現します。

藻類発電の課題

 夢のような藻類発電ですが、当然課題も存在します。第一にそのコストが高いことです。油を収穫する際に遠心分離させるのですが、そのコストが高く、実現への障害となっています。また、ボトリオコッカスは増殖が遅いことも問題とされています。さらに、藻類の中でもエネルギー源となるものは限られており、それらの種だけを培養することは困難なのです(他の種も増殖して効率が落ちてしまう)。

 まだまだ課題が多く、実現までの道のりは遠いですが、藻類は次世代型のエネルギーとして研究を続ける価値は十分にあります。

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