沖縄・奄美 世界遺産へ

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ICUNが登録勧告 7月に正式決定へ!

 国際教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際自然保護連合(ICUN)は、5月10日、「奄美大島、徳之島、沖縄北部および西表島」(沖縄・鹿児島)を世界自然遺産に登録するように勧告しました。7月16日~31日に開かれるユネスコ世界遺産委員会で登録の可否が決定されますが、通常は勧告通りに認められます。

琉球弧の生物多様性が認められた

 世界自然遺産への登録対象地域となった奄美大島、徳之島、沖縄北部、西表島には、ヤンバルクイナやイリオモテヤマネコ、アマミノクロウサギといった希少な固有種が数多く生息しています。

 国頭、大宜味、東の北部3村を含む“やんばる地域”は、亜熱帯海洋性気候の影響を受け、世界的にも希少な亜熱帯照葉樹林を形成しています。琉球諸島最大の原生林が生み出す独自の生態系はここでしか見ることができず、「奇跡の森」と称されています。

 また、登録地域が含まれる四島の中でも奄美大島(鹿児島)は、固有種や絶滅危惧種の数が多く、「オンリーワンの島」と呼ばれています。奄美大島の固有種は、亜種を含め、維管束植物125種、脊椎動物52種、昆虫838種にもなります。

 今回の登録勧告では、これらの豊かな自然が生み出す生物多様性が認められたこととなります。

困難を乗り越えての勧告

 世界的に希少な自然を有する沖縄・奄美地域ですが、世界遺産登録勧告までの道のりは険しいものでした。2018年にこれらの地域が推薦された際には、沖縄北部の候補地が細かく分断されていたために、「生態系の連続した保全に問題がある」と指摘され、「登録延期」が勧告されました。分断されていた原因は、米軍の北部訓練跡地にあり、国がこれらの地域を登録候補地から除外していました。今回の再推薦では、国が登録候補地の見直しを行うことで、「登録勧告」に至りました。

世界遺産へ これからの課題

 世界自然遺産に登録されることはとても喜ばしいことですが、その先には問題も数多く存在します。まず、希少な自然をどのように保全するかという最も重要な問題、そして、観光とどう両立させるかという問題もあります。さらに、米軍基地跡の現地調査に関してもまだまだ道半ばであるため、今後も継続的な保全・調査活動が必要とされています。

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