日焼け止め、サンゴ礁に悪影響か

 夏の海ではマストアイテムとなる日焼け止め。しかしながら、日焼け止めに含まれる化学成分が、サンゴ礁の成長に悪影響を与えているという研究が発表されました。この発表によって多くのサンゴ礁保有国が、日焼け止め規制の方針を固めました。

 今回の記事では、日焼け止め規制の最前線、日焼け止めに含まれる有害物質などを取り上げていきます。

ハワイ州 2021年から販売禁止へ

 日本から年間100万人以上もの観光客が訪れるハワイ州では、2021年1月より、化学物質「オキシベンゾン」「オクチノキサート」を含む日焼け止めの販売と流通が禁止されることが2018年に決まりました。

 このような規制が決まった背景には、日焼け止め成分に関する研究結果が大きく関係しています。この研究を行った学術団体は、「オキシベンゾン」と「オクチノキサート」は、海水浴客の肌から流れ落ちて海水に流入すると、サンゴの白化現象や遺伝子損傷を引き起こす原因となり、サンゴを死滅させることを発表しました。

 ハワイ州の知事は、「ハワイのサンゴ礁を守る第一歩だ」とコメントしその意義を強調しています。また、学術団体の専門家も日焼け止めによる影響を深刻なものとして、その規制を強調しています。

Natural Sun cream bottle on table

禁止になる日焼け止めは3500種以上か

 日本経済新聞によると、ハワイ州で禁止される「オキシベンゾン」と「オクチノキサート」を含む日焼け止めは3500種以上になります。

世界各地で広がる規制

group of people near beach

パラオ 2020年からより厳しい規制へ

 パラオでは、よりサンゴ礁に有害とされた10種類の化学物質を含む日焼け止めの販売に加え、持ち込みも禁止されます。販売した場合には、最大で約10万円ほどの罰金が科され、持ち込んだ場合は没収されます。

メキシコ 観光地が呼びかけ

 メキシコでは、ハワイやパラオのような法規制こそないものの、観光地では日焼け止めの利用を控えるように呼びかけがなされています。

日焼け止め研究 疑問の声も

 日焼け止め規制が世界各地で広まった背景には、2015年に発表された論文があります。

 アメリカのハエレティクス環境研究所は、年間6,000~14,000トンの日焼け止めがサンゴ礁の生息する海域に流れ込み、サンゴ礁に悪影響を与えることを発表しました。

 しかしながら、この研究には疑問の声も上がっています。世界最大級のサンゴ礁として知られているグレートバリアリーフを管理する海洋公園管理局は、「サンゴに悪影響を与えるという証拠は限定的」として、日焼け止めは制限していません。

 化粧品メーカーなどによる研究結果においても、サンゴ礁と日焼け止めの関係には疑問の声が上がっており、今後も議論が続きそうです。

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